近年,加工,計測等の生産技術の向上により,非球面光学部品が高精度かつ低コストで製造できるようになってきました。これにより,光学機器には,光学特性の向上,小型軽量化,および低コスト化を実現するものとして,非球面が積極的に導入 されるようになってきました。 非球面光学部品は,その特性や素材に応じて実に様々な加工技術で製造されています。このため非球面光学部品を製造する場合はもちろん,それを使用する場合においても,これら加工技術の持つ特徴を充分に把握しておくことが重要といえるでしょう。しかし,非球面加工技術について総合的な話を聞く機会は非常に少ないのではないでしょうか。 そこで,本講習会では,第一線でご活躍の講師により,代表的な非球面加工技術の基礎について平易に解説して頂きます。若手技術者,若手研究者を始めとして,新たに非球面加工に取り組もうとする方を対象にプログラムを編成いたしましたが,年齢・経験などに関係なく精密加工技術や光学技術などにご関心をお持ちの方々のご聴講も歓迎いたします。 |
時間 | 題目 | 内容 | 講師 | 講師所属 |
9:55〜10:00 あいさつ(司会) 新潟大学 矢澤孝哲 | ||||
10:00〜 |
研削による非球面加工の基礎 | 非球面レンズの製作方法として,射出成形,ガラスモールドプレス,注形,切削,ガラスの直接研削などの方法がある.被削材が軟質金属やプラスチックの場合は切削で対応できるが,高硬度鋼,超硬,セラミック,ガラスなどは研削に依存する.これらのプロセスを分類し,個々に異なる要求に対応するための加工機械,加工方法,加工技術,加工精度などについて,分かりやすく解説する. |
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東芝機械株式会社 |
11:00〜12:00 |
研磨による非球面加工の基礎 | 大口径の天体望遠鏡用のレンズ,ミラー,そしてレーザー核融合検証用の集光レンズなどの特殊な光学部品は非球面に設計されることが一般的である.これらの光学部品は通常研磨で仕上げられるので高精度な非球面研磨法の要求は大きい.従来研磨は技能に頼る部分があったが,研磨による非球面加工ではコンピュータコントロールされた技術(Computer Controlled Polishing)が主流となっている.ここでは,このCCPを中心に研磨による非球面加工を概観する. |
安藤 学 |
キャノン株式会社 |
11:00〜12:00 休憩(昼食) | ||||
13:00〜14:00 | プラスチック成形による非球面加工の基礎 | 年々プラスチック光学部品は高精度化が進み,プラスチック成形加工最大のメリットである生産性により,部品製造コストの低減に寄与しています.本講演では,高精度プラスチック光学部品を成形加工するための成形技術の基本的な考え方について解説します.さらにそれを実現させるための加工機−射出成形機の特徴について解説する. |
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住友重機械工業株式会社 |
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カメラ用撮影光学系に各種非球面レンズが使用されており,ガラスモールド非球面レンズはそのひとつである.このガラスモールド非球面レンズ製造は,非球面創成技術,ガラスモールド技術並びに非球面(レンズ)の測定・評価技術の技術要素からなっている.本報では,最近発売したLS(APS)カメラに採用された非球面レンズを取り上げ,ガラスモールド技術を中心に非球面(レンズ)製造技術について概説する. | 田中國弘 | ミノルタ株式会社 |
15:00〜15:15 休憩 | ||||
15:15〜16:15 | 複合レンズ成形による非球面加工の基礎 | 近年急速に重要が高まっている非球面光学部品の中で,特に一眼レフ用交換レンズに多用されている複合型非球面レンズについて,加工技術者の立場から1・複合型非球面レンズに於ける特徴(他の非球面レンズ加工方法との比較),2・製造工程,3・量産技術,などについて紹介する. | 中田耕司 | ニコン株式会社 |