コニコイドエンドミルを用いた自由曲面の5軸制御切削加工
−楕円及び双曲線工具の場合−
那須輝久,森重功一,竹内芳美
精密工学会誌, 67巻, 11号 (2001.11) 1856-1860.
製品デザインの多様化や機能の高度化に伴い,
自由曲面によって構成される製品が増加している.そのため,
金型の製造現場等において,自由曲面の仕上げ加工の高精度化,
および効率化への要求は高い.
一般に,自由曲面の仕上げ加工においては,
対象形状の最大曲率部の加工が可能な切れ刃半径をもつボールエンドミルを用いる.
また,加工によって生成される削り残しであるカスプの高さを小さくするために,
ピックフィード量を細かく設定しなければならない.これらの理由により,
曲率変化の大きな曲面を加工する場合は,
曲率半径以下の小さな切れ刃径をもつ工具を用いて,
微小のピックフィードで加工しなければならず,
加工の能率低下の原因となっている.
このような凹凸面を有する自由曲面を高精度,高能率に加工するために,
ボールエンドミルの工具端部と側面部を併用し,
これを5軸制御することによって,高精度加工を試みたことを報告した.
ストレートな側面切れ刃を使う代わりに,
切れ刃の曲率が部位によって異なる工具を用いることで,
更なる高効率加工を期待できる.
このような工具を用いた加工法に関しては,断面形状が楕円の工具を試作し,
曲面を3軸制御加工して加工法および工具特性の基礎を調べた研究が発表されている.
著者らもすでに,2次曲線の軸中心回転体で定義される工具を用いて
自由曲面を加工する手法を提案し,その有効性について検証した.
しかし,これまでに示した手法は拘束条件をつけた基礎的なものであり,
対象とする形状が限りがあった.
そこで本研究では,加工対象形状を拡大するために
工具経路生成法を拡張するとともに,
放物線回転工具であるパラボロイドエンドミルによる加工に加えて,
楕円,双曲線の軸中心回転体によって切れ刃が定義されるエリプソイドエンドミル,
ハイパボロイドエンドミルを用いた工具経路生成法を考案し,
任意形状曲面の加工に対応できるようにしたので報告する.
http://www.ims.mce.uec.ac.jp/
2003, by K.Morishige