2次元C-Space を利用した5軸制御加工のための工具経路生成法
−複雑形状加工に適用するための処理の高速化と堅固化を重視した改良−
小畑智靖,森重功一,竹内芳美
精密工学会誌, 70巻, 2号 (2004.2) 127-131.
我々は,5軸制御加工における工具干渉問題を解決する手法として,
任意の切削点において取り得るすべての工具姿勢に対する干渉の有無の関係を示す
2次元コンフィギュレーション空間 (C-Space)
を利用した工具姿勢決定法を提案した.この手法は,
工具周辺の曲面の幾何情報を基に,干渉を表す領域と干渉のない領域を
C-Space上に表現し,干渉のない領域内の1点を選出することにより,
干渉のない工具姿勢を一意に求めることができる.このとき,
作業者の加工戦略に沿った工具姿勢を選出できるため,
作業者の意図を反映した工具経路 (Cutter Location, CL) の生成も可能である.
しかしながら,この手法も,C-Spaceの生成時間や処理自体の
安定性に関する問題が確認されている.特に,
多数の曲面で構成される複雑な形状に適用した場合,繰り返しC-Space
の生成が行われるため処理時間が増加するうえに,処理が失敗することもある.
様々な形状に対する工具経路を確実に生成するためには,
従来の手法に実用性を重視した改良を加える必要がある.
本研究では,まず,C-Space上の各領域の境界線の表現方法を簡略化し,
処理の高速化と堅固化を図る.次に,工具経路を高速に生成する手法として,
曲面補間に基づく工具経路生成法を提案する.この手法では,
加工面上に代表的なCLデータを配置し,工具送り方向とピックフィード方向の
工具姿勢を同時に補間することにより,1つの加工面に対する全ての工具姿勢を,
極めて少ない情報量で生成することが可能となり,計算時間を大幅に短縮できる.
最後に,従来の手法では対応できなかった複雑な形状であるクローズドインペラを
対象として加工実験を行い,開発した手法の有用性について検証する.
http://www.ims.mce.uec.ac.jp/
2004, by K.Morishige