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機械の可動範囲と工具姿勢変化の連続性を考慮した5軸制御加工用工具経路生成法

藤野裕典,森重功一

精密工学会誌,第74巻, 第12号 (2008.12) 1330-1334.

 5軸制御加工機を用いて加工を行う場合,一般的に 5軸制御加工用の CAMによる工具経路(Cutter Location, CL)データの生成が必要となる. 現在では,5軸制御加工用の経路生成機能において工具干渉回避を考慮した市販の CAMも普及してきている.
 通常の CAMは,CLデータを生成するメインプロセッサと, CLデータを工作機械用の制御コードである NCデータに変換するポストプロセッサで 構成される.メインプロセッサは,入力した CADデータに対し, 加工面と工具経路の誤差や周囲の障害物との干渉を考慮して CLデータを生成する. ポストプロセッサは,入力した CLデータを工作機械の構成に合わせて適切な NCデータに変換する.
 従来のメインプロセッサでは,工作機械情報を参照できないため, CLデータを生成する際に工作機械の可動範囲などを考慮することができない. そのため,ポストプロセッサにおいて変換された NCデータでは, 工作機械が実現不可能な工具姿勢を出力している可能性があった. また,生成した CLデータに含まれる工具姿勢が不連続な場合, 変換された NCデータは冗長な機械動作を含んだものとなり, 加工面性状を悪化させる恐れがある.これらの問題に対処するため, 工作機械情報を参照し,工作機械の可動範囲内で動作可能かつ, 冗長な工具姿勢変化を抑えた CLデータを生成する手法の開発が必要とされている.
 干渉回避を考慮した 5軸制御加工の工具経路を生成する手法として, 2次元コンフィギュレーション空間 (Configuration Space, C-Space) を用いた手法が提案されている.本研究では,この C-Spaceを用いた 5軸制御加工用工具経路生成法を拡張し, 工具干渉の回避と工作機械の可動範囲を同時に考慮して CLデータを生成する手法を提案する.さらに,工具姿勢変化の連続性を考慮し, 変化量が最小となる CLデータの算出方法を提案する. 提案した手法を実装したメインプロセッサを開発し, 工作機械の可動範囲内で動作することを保障した, 工具干渉の無い CLデータを算出して,計算機実験および加工実験を行い, 提案する手法の有効性について検証する.

Comparison of generated C-Space  Scene of machining target shape

IMS Lab. http://www.ims.mce.uec.ac.jp/

2008, by K.Morishige