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C-Spaceを用いた5軸制御加工のための工具経路生成
―スクエアおよびラジアスエンドミルによる加工への対応―

増田拓也,森重功一

精密工学会誌,第78巻,第1号 (2012.1) pp.57-61.

 5軸制御による仕上げ加工では,ボールエンドミルが広く用いられている.ボールエンドミルは,工具姿勢が変化しても工具中心点の位置は変化しない.そのため,5軸制御加工において制御は容易である.しかし,工作物と接する刃の位置によって切削速度が変化し,回転中心では切削速度が0になってしまう.また,刃長が短いため,除去量が少ないという欠点がある.
 一方,スクエアエンドミルは刃長が長く,除去量が多いため,荒加工で多用される.また,工作物と接する刃の位置によって切削速度が変わらず,高速に保つことができる.しかし,スクエアエンドミルの工具中心点の位置は工具姿勢によって変化する.そのため,5軸制御加工ではボールエンドミルと比較して制御が困難である.また,工具先端の角が衝撃によって欠けやすい.
 ラジアスエンドミルは,工具先端の角が丸くなっているため欠けにくい.また,スクエアエンドミルと同様に切削速度を高く保つことができ,除去量も多い.しかしながら,工具姿勢によって工具中心点の位置が変化し,5軸制御加工における制御は困難である.
 先行研究では,ボールエンドミルによる5軸制御加工を対象とし,加工面に対する工具姿勢を2次元空間の1点で表す2次元コンフィギュレーション空間(Configuration Space,C-Space)を適用し,工作機械の可動範囲や工具と工作物の干渉を考慮した工具経路生成法が提案された.しかし,この手法はボールエンドミルによる加工にしか対応しておらず,汎用性の点で不十分であった.
 本研究では,先行研究の手法を拡張し,スクエアおよびラジアスエンドミルによる5軸制御加工に対応した工具経路生成法の開発を目的とする.まず,工具姿勢によって位置の異なる工具中心点の計算方法を示す.次に,スクエアおよびラジアスエンドミルによる加工に対応した工具姿勢を出力できるように2次元C-Spaceを拡張する.さらに,除去量が多いという2つの工具に共通する利点を考慮した工具経路生成法を提案する.最後に,加工シミュレーションによる検証実験を行い,提案した工具経路生成法の有用性を確認する.

Screen of machining simulation
IMS Lab. http://www.ims.mce.uec.ac.jp/
Last updated on April 10, 2012 by www-admin@ims.mce.uec.ac.jp