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振動切削を用いた6軸制御溝加工

宮内 馨,森重功一,竹内芳美

精密工学会誌,65巻11号(1999-11) 1623-1627

現在,多軸制御加工の分野では回転工具を使用した加工がおこなわれている. しかし,回転工具を使用した加工では,加工困難,不可能な形状が存在する. そこで非回転工具を用いて,それらの加工を行う6軸制御加工が研究されてきた.

しかしながら,6軸制御加工にも

  1. 切削速度が非常に遅い.
  2. ヘール工具を用いるため, 工具変形が加工形状のズレとして現われ面荒れが発生する.
という問題点が存在する.その結果,アルミニウムのような展延性に富む材料の場合, 切削面粗さが非常に悪化する場合がある.この問題の解決方法として, 切削条件を変更して単位時間あたりの切削量を少なくすることが考えられるが, この加工法だと加工時間が非常に増加してしまう.そこで, 低切削速度でも良好な加工が可能な方法として振動切削を導入した. 振動切削とは,刃先を切削方向に振動させながら切削する加工法である. その利点として,切削抵抗の減少,切削性の向上,切削油の効果増大, 構成刃先の防止等が挙げられる.

まず,6軸制御加工機で振動工具を用いて基礎加工実験を行い, 慣用切削に比べ切削抵抗の減少すること, 切削条件を厳しくした場合でも面粗さの良好なこと, バリやムシレが発生しないことを確認した. 次に,振動工具に対応する6軸制御溝加工用CAMを開発し, 振動切削を用いた6軸制御溝加工を行った.加工形状は, 直線と曲線のV字形状である.バリやムシレの無い良好な加工結果が得られた.

6軸制御振動切削溝加工 加工後のワークピース


IMS Lab. http://www.ims.mce.uec.ac.jp/

1999, by K.Morishige