5軸および6軸制御を併用したキャラクタライン加工
森重功一,井沢祐弥,竹内芳美
精密工学会誌,69巻9号 (2003.9) 1317-1321
複数の曲面の交線や角隅部分は,回転工具では加工することはできない.
このような部分は,従来,放電加工により除去されてきたが,
回転工具による切削加工の制約を解決してその適用範囲を拡大することにより,
放電加工を切削加工に置き換えることが可能となれば,
リードタイムの短縮という製造業における共通の命題の解決に,
大きく寄与することができる.
以上のような背景をもとに,非回転工具を同時6軸制御して加工を
行う6軸制御加工が提案され,その実用化に向けて継続的に研究が
なされてきた.同時6軸制御加工は,工具の送り速度,
すなわち切削速度が低速に制限されてしまうため,
加工精度や加工面性状が悪化するという問題があったが,
この低切削速度の問題は振動切削を適用することにより解決されつつある.
しかしながら,6軸制御加工の送り速度は,依然,
十分なものではないため,単位時間あたりの除去量は微小である.
加工効率の点では,回転工具による加工の方が有利である.
本研究では,大径のボールエンドミルによる加工後の
キャラクタライン付近の削り残し部分を,回転工具による5軸制御加工と
6軸制御振動切削を併用することにより効率的に除去し,
明瞭なキャラクタラインを得るための加工方法を確立することを
目的としている.ここでは,加工対象形状の3次元CADデータを
利用した工具経路の生成方法について説明した後,
提案した手法を組み込んだ独自のCAMソフトウェアにより生成した
データを利用した加工実験の結果について述べる.
http://www.ims.mce.uec.ac.jp/
2003, by K.Morishige