産業用ロボットによる研磨作業の自動化
−曲面の曲率を考慮した経路生成−
植木祐輔,森重功一,石田 徹,竹内芳美
精密工学会誌,70巻12号 (2004.12) 1522-1526
産業用ロボットは,生産性を向上させる有力な手段として
溶接や塗装などの作業に数多く導入されてきた.しかし,
バリ取りや研磨などの作業は,人間の感覚を要する作業であるため,
ロボットは人間の技能をそのまま継承しなければならず,
未だ完全な自動化・無人化を達成することは困難である.
そのため,このような作業は,熟練作業者の手作業により行われているが,
いわゆる3K(きつい・汚い・危険),かつ,
単純な繰返し作業であることから,自動化の要求が根強く残っている.
研磨が不可欠で熟練工の作業に頼っている製品に,食品・化粧品・
薬品メーカが生産工程で使用する器具類がある.これらの器具類は,
その表面に液体材料などが長時間付着し,腐食することや細菌増殖の
培地となることを防ぐために,液体材料の剥離性を向上させる必要がある.
そのため,全表面に研磨加工が施され,鏡面にまで仕上げられている.
研磨作業の自動化に産業用ロボットを適用しようとする取り組みは,
以前からなされてきた.しかし,一般的な方法で生成された工具経路で
研磨を行うと,研磨対象形状によっては磨き残しや磨きムラが生じてしまい,
良好な仕上げ面を得ることができない.本研究で研磨対象とするインペラ翼表
面などにみられる自由曲面を産業用ロボットを用いて研磨する研究は,
力制御を利用したものなどがいくつか報告されているが,
経路生成方法の検討はほとんど行われていない.そこで,本稿では,
加工面の曲率を考慮した研磨経路の生成法を提案し,
自由曲面の研磨実験により,その有効性を示すとともに,
インペラの研磨実験の結果について述べる.
http://www.ims.mce.uec.ac.jp/
2004, by K.Morishige