ボールエンドミルの先端切れ刃・側面切れ刃を併用した5軸制御加工
竹内芳美,長坂 学,森重功一
精密工学会誌,61巻4号 (1995.4) 561-565
ボールエンドミルを用いた5軸制御加工には2種類の方法が考えられる.1つは工具先端の球状切れ刃を用いた通常の切削方法で,自由に姿勢をとることができるので,工具干渉を考慮すればほとんどの形状を加工することができる.しかし,この方法の場合,ピックフィード方向に工具が離散的に移動することにより波状の凸凹(カスプ)が生じるため,目的の表面粗さを得るためにピックフィード量を小さく設定しなければならず,これが加工能率低下の原因となっている.もう1つは,工具側面の切れ刃を用いて切削するものである.この方法は線接触で加工するためカスプ高さは減少し,滑らかな加工面が得られる.しかし,凹面に対応できないうえに,加工面に対してほぼ平行な姿勢となるため,加工部位によっては相当な工具の突出しが必要となるなど適用範囲がかなり制限される.
以上の背景をもとに,本研究では先端切れ刃と側面切れ刃の両者の利点を活かすことを考え,仕上行程においてボールエンドミルの先端部と側面部を連続的に使用する新しい加工法を提案している.目的の加工を行ううえで必要となるCLデータを工具干渉を考慮したうえで生成するアルゴリズムを考案し,それにもとづいて作成したソフトウェアを用いて加工実験を行った結果,加工精度と加工能率の向上を確認した.
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1995, by K.Morishige