本研究は,成型時における金型および金型内部の熱流制御を行う冷却穴加工への応用を目指し,これまで困難であった曲がり穴の加工法の確立を目的としている.一般に金型の冷却穴はドリルで加工されるため,曲がり穴といっても,直穴が組み合わされた折れ線状の形状にならざるを得ない.したがって,このような冷却穴を冷却液の流れに,よどみを引き起こし,冷却効果の不安定化や低下の原因となる.このような問題を解決するために,曲がり穴を加工するための極めて簡便な機構を考案した.この機構は圧縮コイルばね,ワイヤ,プーリ,放電加工用電極で構成されており,放電加工機に取り付けられている.この機構により電極は曲率軌跡を描くことができる.実験の結果,この機構によって曲がり穴が加工できることを証明した.
T.Ishida