旋盤形超精密フライス加工機による
自由曲面のマイクロマシニング
沢田 潔,竹内芳美,福島泰明
西江 真,佐田登志夫
日本機械学会論文集(C編)、61巻581号(1995)293-298

LEFT : `OTAFUKU' mask defined by CAD
RIGHT : `OTAFUKU' mask machined within the area of 3.5mm square
マイクロマシニング技術は一般に半導体技術の分野で良く知られているが、
最も使われている材料は酸化ケイ素のような硬脆材料である。しかし今後は、
金属材料によるマイクロマシンもしくはマイクロメカニズムが望まれること
になると思われる。というのは、金属材料であれば、今までの蓄積してきた
知識と技術を用いることができるので、多くの複雑な形状を創り出すことが
可能であり、しかも製作が楽になるからである。
そこで、本研究では新しく開発された
超精密フライス加工機
を用いて、金属材料に自由曲面を形成する微細加工を行なった。
この加工機は旋盤形の超精密加工機で、直動2軸(X軸およびZ軸)と回転2軸
(B軸およびC軸)で構成されている。Z軸上にC軸が、また、X軸上にB軸が設置
されている。さらにB軸上に高速スピンドルを装備され、その高速スピンドル
には単結晶ダイヤモンドを切れ刃とした疑似ボールエンドミルが装着されて
おり、一方、C軸面上には被加工物が固定され、フライス加工を行なうことが
できる。
本研究では、この超精密加工機を超精密微細加工に応用するため、3軸制御
用および4軸制御用ソフトウェアをそれぞれ開発した。
このうち、3軸制御用ソフトウェアを用いて超精密加工機を制御し、表面粗
さ77nmRmax、面積3.5mm^2の`おたふく面'を削り出すことに成功した。
また、4軸制御用ソフトウェアにより、3軸加工機では工具干渉などで切削
不可能であった急峻な傾斜を持つ形状も、4軸目のB軸を制御することができる
のでうまく切削することに成功した。これは、4軸制御超精密フライス加工の
急峻な形状への可能性を示したものといえる。
本研究の結果、金属材料の自由曲面に対しての超精密加工の有用性が証明さ
れた。
[竹内研ホームページへ]
1996/11/14, by T.Ishida