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超精密マイクロ溝加工の研究

  〜 V形状格子溝の製作 〜

Development of Ultraprecision Micro Grooving

沢田 潔,河合知彦,竹内芳美,佐田登志夫

日本機械学会論文集(C編) 64巻 627号 (1998.11) 4440-4445.


`otafuku' mask defined by CAD `otafuku' mask defined by CAD machined `otafuku' mask
LEFT : Pitch 0.1 mm
CENTER : Pitch 0.2 mm
RIGHT : Pitch 0.5 mm


 超精密な形状精度,面粗さが要求される光学機器部品や電子機器部品はもちろんのこと,マイクロマシンに用いられるようなマイクロ部品の製造技術は,二とおりに大別される.一つは現在の主流であるリソグラフィなどの半導体製造技術を応用した加工技術であり,大量生産に向いている,マイクロ角溝の加工に対して L/D を大きくできるなどの利点がある.その反面,加工材質が限られる,シャープなエッジを作りにくい,斜面や曲面形状に対しては微小平面に細分化して階段状に 2.5 次元近似するために,滑らかな面を得にくいといった欠点もある.他の一つは超精密加工機を用いた機械加工技術によるもので,切削,研削,放電などの加工を使っているが,製品が型などで複製できない場合は大量生産に向かない,高精度な工具が必要,マイクロ角溝の加工に対しては L/D の大きな工具の製作が困難などの欠点がある.その反面,加工材質をある程度選択できる,シャープなエッジを作りやすい,斜面や曲面に対しても近似せずに滑らかな加工面が得られるなどの利点があり,最近見直されている.
 両手法とも一長一短があり,互いに欠点を補い合って総合的に発展するのが望ましいが,本研究では超精密加工機と単結晶ダイヤモンド回転工具を用いた後者の手法を適用し,半導体製造技術を応用した加工技術では加工が困難である滑らかな斜面形状や曲面形状を持つ超精密マイクロ溝加工試験を行った.
 実験の結果,100 μm オーダのV溝の加工において形状精度,表面粗さともに良好な結果が得られた.溝のエッジにバリはなく,両斜面ともに Rmax 48 nm の表面粗さであった.さらに,ピッチ 1 μm のマイクロV溝の加工を行い,このような超微細形状に対しても,エッジはバリがなくシャープで,斜面は滑らかな加工面が得られた.また,台形溝やR溝など,その他の形状に対しても,同様の加工方法で,良好な加工が可能であることを示した.


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