マイクロ溝加工技術を用いたフレネルレンズ金型加工
Metal Mold Manufacturing of Fresnel Lens by Use of Micro Grooving Technology
ナッタポン・ソウスウィッツ,竹内芳美,沢田 潔,佐田登志夫
日本機械学会論文集(C編) 64巻628号(1998-12)
フレネルレンズの従来の加工方法には半導体加工技術を用いたフォトリソグラフィや機械加工技術である旋削がある.フォトリソグラフィは微細な部品加工に一般的に用いられる方法であるが,真上からの露光による形状成形のため,三次元的な形状をつくりたい場合,何層か重ねるようにしなければならない.その結果,断面形状が階段状になってしまう恐れがある.また,通常の旋盤による加工では工具が静止しているため,回転する被削材の中心では切削速度がほぼ零になる.これが,バリ発生や表面粗さの悪化を招く原因になっている.本研究は,三次元的な形状の加工に有利であり,かつ工具自身が回転することで切削速度の低下を防げる回転工具による加工方法を取上げ,これらの問題を解決しながら高精度な小径フレネルレンズ金型を得ようとするものである.
本研究では,位置決め最小分解能が1nmである超精密加工機を用い,工具には開き角度70°の単結晶ダイヤモンドバイトを使用し,干渉を考慮して工具姿勢を定め,加工実験を行った.加工形状であるが,直径6mmの無酸素銅に中心からピッチ125μmの溝15本から構成されるフレネルレンズの金型を加工した.加工されたフレネルレンズの溝形状は良好で溝と溝の間の稜線にバリは確認されず,溝斜面の表面粗さは溝円周方向と半径方向でそれぞれ78nm,84nmで鏡面に加工することができた.
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2000/02/19, by H.Yonekura