マイクロV溝を利用した微小部品の直接接合
-2方向溝を用いた高精度位置決め-
Direct Bonding of Small Parts by Means of V-Shaped Microgrooves
-Accurate Positioning by Means of Two Directional Microgrooves-
宮川治,ナッタポン・ソウスウィッツ,竹内芳美,河合知彦,沢田 潔,佐田登志夫
精密工学会誌 67巻 2号(2001-02)
製品の小型化に伴い,マイクロ部品から構成されるマイクロ製品の開発が急速に進んでいる.その際,微小部品同士の結合や接合の方法は,組立作業に重要な問題を投げかけている1).
微小部品同士の接合には,接合の容易なことから接着剤などを用いている.しかし,接着剤を使用した接合では接着剤の硬化に時間を要するために微小部品同士の正確な位置決めが難しい.さらに,接着剤の膜厚により接合精度の低下を引き起こすだけでなく,微小部品の狭い接着面積のため,接合強度が弱いという問題もある.
そこで本研究では,ブロックゲージなどで見られる高い平面度の鏡面同士が凝着する現象に注目した.超精密切削加工を用いて微小部品の接合面に面粗さレベルの大きさのマイクロ凹凸V形状を多数形成し,それらを接着剤なしで直接はめ合わせる接合法である.この接合法では正確な位置決めができると同時に,V形状によるくさび効果と互いの接触面における凝着現象によって容易に高強度の接合が可能になる.
本報で2方向溝をもつ試料で接合実験をし,結合誤差の程度を調べたところ,各方向ともに0.380マイクロメータという微少な位置決め誤差で接合を行なうことができ,また無酸素銅とアルミニウム合金という異種材料での組合せにおいて,問題なく接合することができた.
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2001/02/22, by N.Sornsuwit